なぜ私たちは「インカインド支援」を選んだのか?

こんにちは、森本たかしです。

「防災士のネットワークはボランティア精神で支えられている」とよく言われます。
でも、現実にはその“ボランティア”が正当に評価されることは、ほとんどありませんでした。

特に、私が所属していた日本防災士会では、その傾向が顕著でした。


「講演する人」だけが評価される世界

イベントがあると、表に出るのは講演を担当する一部のメンバー。
その裏で、誰がイベントを企画したのか?
誰が会場を押さえたのか?
誰が座席を並べ、マイクを準備したのか?
誰がホームページを作って集客したのか?

こうした“見えない貢献”は一切カウントされないのが当たり前でした。

おまけに講演を担当するのも、中心メンバーの中で“持ち回り”。
中堅メンバーですら、任せてもらえる機会がないまま。
そして当然ながら、講演のための学習の場も提供されません。


「人が育たない」のではなく、「育てる気がない」

組織の中で何度も聞いた言葉があります。

  • 「最近の人は手伝わない」
  • 「言われたことしかしない」
  • 「やる気が感じられない」

でも本当にそうでしょうか?

私には、手伝っても評価されない、存在を認められない空気が、会員のやる気を奪っているようにしか見えませんでした。

そしてその結果、呆れた会員が黙って離れていく。
それを繰り返しているのが、かつての防災士会の姿でした。


だから、私たちは変えることにしました

私たちのネットワークでは、目に見える活動だけでなく、裏方の仕事も「インカインド支援=貢献」としてきちんと評価します。

  • チラシを作った人
  • 会場を押さえた人
  • 記録をまとめた人
  • SNSでイベントを広報した人

こうした活動がなければ、どんな立派な講演も成り立ちません。
だからこそ、それらもすべて「価値ある寄付」として正式に記録し、みんなで感謝し、平等に扱う。

そして、希望する人には講演の機会も学ぶ場も提供する。
学びたい人が育てられない組織に、未来はありません。


「お金ではなく、行動が価値になる」組織へ

私たちは、従来のように「上から役割を与えられる」のではなく、
「自分から貢献できる」仕組みを大切にしています。

金銭的な寄付ができなくても、時間や労力、スキルやアイデアを寄付することで、十分に組織を支えることができる。

そんな「新しい貢献のかたち」が、インカインド支援なのです。

この考え方こそ、これからの防災士ネットワークを持続可能なものにしていく鍵だと、私は確信しています。