
災害は、家族全員が自宅にいるときに起きるとは限りません。
仕事中、学校への登下校中、買い物中など、家族が別々の場所にいるときに地震や大雨が発生することもあります。
そのとき、電話がつながらなければ、家族の安否や避難先が分からず、不安なまま探し回ることになりかねません。
今回は30分だけ時間を取り、災害時の連絡方法と集合場所を家族で決めてみましょう。
今日の目的は、細かな防災計画を完成させることではありません。
連絡が取れないときに、家族がそれぞれどう行動するかを決めることです。
最初の5分:家族が普段いる場所を確認する
最初に、平日の昼間に家族がいる場所を書き出します。
- 自宅
- 勤務先
- 学校や保育施設
- 通勤・通学経路
- よく利用する店舗
- 高齢の家族が通う施設
- ペットがいる場所
休日の行動も完全には予測できませんが、普段いる場所を確認するだけでも、災害時の状況を考えやすくなります。
勤務先や学校については、所在地と電話番号も確認しておきましょう。
家族の電話番号をスマートフォンに登録していても、端末を紛失したり、充電が切れたりすると確認できません。必要な番号は紙にも控えておくと安心です。
次の5分:連絡手段の順番を決める
災害時には電話が集中し、音声通話がつながりにくくなる場合があります。
「電話がつながるまで何度もかけ続ける」のではなく、複数の連絡手段を決めておきましょう。
例えば、次のように順番を決めます。
- 携帯電話へ電話する
- SMSを送る
- 家族で決めたメッセージアプリを使う
- 災害用伝言ダイヤル「171」を使う
- 災害用伝言板「web171」を確認する
- 遠方の親戚や知人を共通の連絡先にする
大切なのは、連絡手段を増やすことだけではありません。
「電話がつながらなければSMS、その次は171」というように、家族全員が同じ順番を知っていることが重要です。
メッセージを送るときは、長い説明をせず、次の情報を簡潔に伝えます。
- 自分は無事か
- 現在どこにいるか
- これからどこへ移動するか
- けがや支援の必要があるか
例えば、次のような内容です。
「無事です。会社にいます。今日は会社で待機します。自宅には戻りません」
短い文章でも、安否と行動予定が分かれば、家族が無理に探しに行くことを防げます。
次の5分:171で使う電話番号を決める
災害用伝言ダイヤル「171」は、災害によって電話がつながりにくくなった場合に提供される声の伝言板です。
171へ電話し、音声案内に従って伝言を録音したり、家族の伝言を再生したりできます。
ただし、利用するときには伝言の登録先となる電話番号が必要です。
家族で、どの電話番号を使うのかを事前に決めておきましょう。
候補としては、次のような番号があります。
- 自宅の固定電話番号
- 家族の代表者の携帯電話番号
- 被災地に住む家族の電話番号
家族がそれぞれ別の番号へ伝言を残すと、安否を確認しにくくなります。
「災害時は自宅の電話番号へ伝言を登録する」など、共通の番号を一つ決めてください。
災害用伝言板「web171」では、インターネット上から電話番号を使って伝言を登録・確認できます。
171とweb171は、知っているだけでなく、一度使ってみることが大切です。毎月1日と15日などに設けられている体験利用日を活用し、家族で操作を試してみましょう。
次の5分:集合場所を二つ決める
自宅へ戻れない場合に備え、家族の集合場所を決めます。
集合場所は、一つだけでは不十分です。
災害の種類や被害の状況によっては、その場所へ近づけないことがあるため、第一集合場所と第二集合場所を決めておきましょう。
例えば、次のように設定します。
- 第一集合場所:自宅近くの指定緊急避難場所
- 第二集合場所:親戚の家や別の地域の公共施設
集合場所を決めるときは、次の点を確認します。
- 地震や洪水、土砂災害などの危険がないか
- 家族全員が場所を知っているか
- 徒歩で移動できるか
- 夜間でも場所を確認できるか
- 施設が閉まっていても待ち合わせできるか
「近所の公園」のような曖昧な決め方ではなく、「公園の北側入口」など、具体的な場所まで決めておきます。
ただし、災害発生後に必ず集合場所へ向かうとは限りません。
学校や勤務先にいた方が安全な場合は、その場所にとどまることも必要です。危険な状況で無理に移動しないことも、家族で確認しておきましょう。
次の5分:迎えに行く人と役割を決める
乳幼児、高齢者、障害のある家族など、自分だけで避難することが難しい人がいる場合は、誰が支援するのかを決めます。
- 子どもを迎えに行く人
- 高齢の家族へ連絡する人
- ペットを連れて避難する人
- 遠方の親戚へ状況を伝える人
一人だけを担当者にすると、その人が帰宅できない場合に対応できません。
「父親が行けない場合は母親、その次は近くに住む親戚」というように、代わりの人も決めておきます。
学校や保育施設については、災害時の引き渡しルールも確認してください。家族で決めた方法より、施設のルールが優先される場合があります。
最後の5分:決めた内容を記録する
話し合って終わりにせず、決めた内容を紙やスマートフォンに記録します。
最低限、次の項目をまとめましょう。
- 家族全員の電話番号
- 勤務先や学校の電話番号
- 連絡手段を試す順番
- 171で使う共通の電話番号
- 第一集合場所
- 第二集合場所
- 遠方の共通連絡先
- 子どもや高齢の家族を迎えに行く人
小さなカードにして財布や通学かばんへ入れておくと、スマートフォンが使えない場合にも確認できます。
個人情報が含まれるため、住所や生年月日など、必要以上の情報は書かないようにしましょう。
実際に試してみる
連絡方法や集合場所は、決めるだけでは十分ではありません。
家族に次のような質問をしてみましょう。
- 電話がつながらなければ、次に何を使う?
- 171で使う電話番号は?
- 第一集合場所はどこ?
- そこへ行けない場合はどこへ行く?
- 学校や勤務先にいるときはどうする?
答えが家族ごとに違っていれば、もう一度確認します。
時間があるときには集合場所まで実際に歩き、危険な道路や通れなくなる可能性がある場所も確認してみましょう。
今日の防災士活動
災害時の家族の行動を考え、連絡方法と集合場所を決めることも、防災士としてできる具体的な活動です。
特別な設備や大きな費用は必要ありません。
家族で30分話し合うだけでも、災害時の混乱や不安を減らせます。
決めた内容は一度で完成ではありません。家族の勤務先や学校、携帯電話番号が変わったときには見直しましょう。
防災士は、一人でも活動できる。
まずは今日、「電話がつながらなかったら、どうする?」と家族に尋ねることから始めてみましょう。
参考資料・公的情報
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防災士 森本たかし(京都府舞鶴市)


