
地震が起きたとき、室内にある家具や家電は、倒れるだけではありません。
大きく移動したり、中の物が飛び出したり、割れたガラスが床へ散乱したりすることがあります。
家具が出入口をふさげば、けがをしていなくても部屋から避難できなくなるかもしれません。
今回は30分だけ時間を取り、自宅の家具や家電を点検してみましょう。
今日の目的は、すべての家具を一度に固定することではありません。
危険な家具を見つけ、優先して対策する三つを決めることです。
最初に確認したい三つの場所
家具の転倒防止は、家中を同じ順番で進める必要はありません。
次の場所から優先して確認します。
- 寝室や子ども部屋
- 玄関や部屋の出入口
- 家族が長い時間を過ごす場所
特に寝室では、眠っているときに家具の転倒を避けることが難しくなります。
ベッドや布団の近くに背の高い家具がある場合は、最優先で確認してください。
また、家具が倒れたときにドアや廊下をふさぐ配置になっていないかも重要です。
最初の5分:家具の危険度を確認する
自宅の各部屋を見ながら、次のような家具や家電を探します。
- タンス
- 本棚
- 食器棚
- 冷蔵庫
- テレビ
- 電子レンジ
- 仏壇
- ピアノ
- キャスター付きの家具
- 高い場所に置かれた収納箱
見つけた家具について、次の点を確認します。
- 背が高く、奥行きが小さくないか
- 重い物が上の方に入っていないか
- 壁や柱に固定されているか
- 固定器具が緩んでいないか
- 家具の上に重い物や割れ物がないか
- 扉や引き出しが揺れで開きそうではないか
- キャスターを固定できるか
- 家具の前で家族が寝たり座ったりしていないか
固定器具が付いていても、長年使っていると、ねじの緩みや粘着部分の劣化が起きている可能性があります。
「固定してあるから大丈夫」と考えず、器具の状態まで確認しましょう。
危険な家具を無理に揺らして試す必要はありません。大型家具が不安定な場合は、触らずに専門業者へ相談してください。
次の5分:家具が倒れる方向を考える
家具の正面に立ち、地震で手前へ倒れた場合を想像します。
次の場所へ家具が倒れ込まないか確認してください。
- ベッドや布団
- 子どもの遊ぶ場所
- 机や椅子
- 部屋の出入口
- 廊下
- 階段
- コンロやストーブ
- 窓ガラス
家具が倒れる範囲は、家具の高さを目安に考えます。
例えば、高さ180センチの本棚であれば、本棚の正面から同じ程度の範囲に寝る場所や出入口がないか確認します。
固定器具をすぐに用意できない場合でも、次のような配置変更は可能です。
- ベッドや布団を家具の正面から移動する
- 家具の向きを変える
- 出入口から家具を離す
- 背の高い家具を人が長く過ごさない部屋へ移す
- 家具を減らし、収納場所をまとめる
配置を変えるだけでも、家具が人を直撃したり、避難経路をふさいだりする危険を減らせます。
次の5分:家具の中と上を確認する
家具そのものが倒れなくても、収納物が飛び出すことがあります。
食器棚、本棚、吊り戸棚などを確認し、重い物や割れやすい物が高い場所に置かれていないか見てみましょう。
収納の基本は、重い物を下へ、軽い物を上へ置くことです。
次のような対策も考えます。
- 家具の上に物を置かない
- 重い鍋や家電を低い場所へ移す
- 食器棚に扉開放防止器具を取り付ける
- 本棚に本の飛び出し防止ベルトや落下防止バーを付ける
- ガラス部分へ飛散防止フィルムを貼る
- 引き出しに飛び出し防止器具を付ける
- 滑りやすい物の下へ滑り止めシートを敷く
家具の上に置いた箱は、軽く見えても中身が重いことがあります。
地震の揺れで頭上から落ちれば危険です。一つずつ中身と重さを確認してください。
次の5分:固定方法を確認する
家具の固定方法には、次のようなものがあります。
- L型金具
- ベルト式器具
- ポール式器具
- ストッパー式器具
- マット式器具
- 家具同士をつなぐ連結金具
- キャスターの下へ設置する固定器具
一般に、壁の下地など十分な強度がある部分へL型金具で固定する方法は、効果の高い方法とされています。
ただし、壁ならどこへねじを打ってもよいわけではありません。
石こうボードだけの部分へ取り付けても、強い揺れで外れる可能性があります。壁の材質や下地の位置を確認し、家具と住宅に合った器具を選んでください。
ポール式器具を使う場合は、家具の壁側に近い位置へ、天井と家具の強い部分に接するよう取り付けます。
壁へ直接固定できない場合は、ポール式器具とストッパー式器具など、上下で異なる器具を組み合わせる方法があります。
上下に分かれている家具は、上段と下段を連結することも必要です。
器具には使用できる家具の大きさや重さ、設置条件があります。購入前に商品の説明書を確認しましょう。
賃貸住宅で確認すること
賃貸住宅では、壁へねじを打つ固定方法を自由に選べない場合があります。
まず、賃貸借契約の内容を確認し、必要に応じて大家や管理会社へ相談してください。
壁へ固定できない場合は、次の方法を組み合わせます。
- 家具の配置を変更する
- 背の高い家具を減らす
- 家具の上に物を置かない
- 重い物を下へ移す
- ポール式器具とストッパー式器具を併用する
- 扉や収納物の飛び出しを防止する
粘着式や突っ張り式の器具も、壁や家具の材質、天井の強度によっては使用できません。
「穴を開けない器具だから、どこでも安全に使える」とは限らないため、説明書の条件を確認しましょう。
次の5分:家電製品を確認する
家具だけでなく、家電製品も地震で転倒、落下、移動する可能性があります。
特に確認したいのは、次の家電です。
- 冷蔵庫
- テレビ
- 電子レンジ
- 炊飯器
- パソコンやモニター
- 水槽
- キャスター付きの家電
冷蔵庫は、メーカーが指定する転倒防止ベルトや金具を使用できる場合があります。
テレビも、台の上に置くだけではなく、テレビ台や壁へ固定する方法を確認します。
電子レンジなどを高い場所へ置いている場合は、本体だけでなく、置いている棚も固定されているか確認してください。
家電製品は重量があり、固定方法を誤ると故障や事故につながります。取扱説明書やメーカーの案内を確認し、不明な場合は販売店や専門業者へ相談しましょう。
最後の5分:優先する三つを決める
点検が終わったら、危険度の高い場所を三つだけ選びます。
例えば、次のように記録します。
- 寝室の本棚をベッドから離す
- 食器棚の扉に開放防止器具を付ける
- 冷蔵庫の固定方法をメーカーへ確認する
「今日できること」と「器具の購入や工事が必要なこと」を分けると、行動しやすくなります。
今日できること
- 家具の上の物を下ろす
- 重い物を下段へ移す
- ベッドや布団の位置を変える
- 出入口付近の物を移動する
- 固定器具の緩みを確認する
準備が必要なこと
- 固定器具を購入する
- 壁の下地を確認する
- 大家や管理会社へ相談する
- メーカーへ固定方法を問い合わせる
- 専門業者へ設置を依頼する
一度に家中を完成させようとすると、なかなか始められません。
まず、寝室の家具を一つ安全にするところから始めましょう。
取り付け作業をするときの注意
背の高い家具や重い家電を一人で動かすのは危険です。
固定作業では、次の点に注意してください。
- 大型家具は二人以上で作業する
- 安定した脚立を使う
- 家具へ無理に乗らない
- 電気配線やガス管、水道管の位置に注意する
- 壁や天井の材質を確認する
- 商品の説明書に従う
- 不安がある場合は専門業者へ依頼する
高い場所へ手を伸ばしているときに家具が動けば、転倒事故につながります。
30分の点検では無理に取り付けまで行わず、安全な作業方法を準備するところまででも十分です。
点検結果を記録する
次の項目を、スマートフォンや紙へ記録しておきましょう。
- 点検した日
- 危険だった家具や家電
- 対策した内容
- 必要な固定器具
- 大家や管理会社へ確認すること
- 専門業者へ依頼すること
- 次に点検する日
家具を移動したとき、引っ越したとき、固定器具を外したときには、もう一度確認します。
季節家電を出し入れした後や、部屋の模様替えをした後も点検の機会です。
今日の防災士活動
家具の危険を見つけ、寝室や避難経路を安全にすることも、防災士としてできる具体的な活動です。
特別な資格や高価な道具がなくても、家具の配置を見直し、重い物を下へ移すことは今日からできます。
自宅で気づいた危険や対策方法は、家族や身近な人にも伝えられます。
防災士は、一人でも活動できる。
まずは今日、寝ている場所から一番近い家具を確認してみましょう。
備蓄品を置いている棚や、非常用トイレまでの通路が地震でふさがれないか、家具の配置も確認しておきましょう。
室内の避難経路を確保したら、自宅の外から避難場所までの経路にも危険がないか、実際に歩いて確認してみましょう。
参考資料・公的情報
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