🚨 その避難訓練、本当に役に立ちますか?

毎年同じ避難訓練。でも、本当にそれで命を守れるでしょうか?
形だけの訓練は「安心のふり」にすぎず、いざという時には役立ちません。


🏫 学校・地域に残る“昭和型”訓練

  1. 整列してから避難
    「まずは運動場に整列」…その間に倒壊や火災の危険が迫ります。
  2. スリッパ行進
    上履きのまま校庭へ。瓦礫やガラス片の中では危険。靴や防護具が必須です。
  3. 机の下で一斉待機
    潜るだけで終わり。揺れの後にどう動くかを学んでいません。
  4. サイレン一斉退避
    決まった時間に避難開始。本番に“予告”はありません。
  5. 校庭で点呼して終了
    「無事でした」で終わるが、実際は避難所生活・情報伝達が待っています。

🏢 事業所・地域の“形だけ”訓練

  1. 消火器ごっこ
    消火器を握るだけ。火源確認・避難誘導・通報が伴わなければ意味がありません。
  2. 避難経路が一つ
    毎回同じ階段。実際には煙や炎で通れない可能性があります。
  3. 炊き出し=カレー訓練
    楽しいだけで終わり。実際は水不足・燃料不足・アレルギー対応が課題です。
  4. テント設営なし
    避難所訓練なのに仕切りや段ボールベッドを使わない。プライバシーや寒さ対策を無視しています。

🚨 共通する問題点

  • シナリオが単純すぎる(地震→避難→点呼で終了)。
  • 「やらされ感」が強く、実際の役立ち感がない。
  • 豪雨・停電・長期避難など、多様な災害を想定していない。

📊 避難訓練の比較表

項目形骸化した昭和的訓練(無駄な避難訓練)現実に即した改善された訓練
行動開始教師の「机の下に入りなさい」という指示を待ってから行動子ども自身が揺れを感じたら即座に自発的に行動する
避難先無条件で校庭集合。集合が目的化耐震性がある校舎では教室内待機も選択肢。津波・火災など実際の危険に応じて判断
余震対応本震だけを想定し、余震は無視余震を想定し、繰り返しの揺れに対応する訓練を実施
停電・通信放送設備や電気が常に使える前提停電で放送が使えない状況を想定。声掛け・自主判断で避難
天候条件雨天時は順延、快晴時だけ実施大雨や荒天でも実施し、現実の悪条件下での対応を体験
けが人対応「けが人なし」で全員無事想定けが人を想定した「けが人封筒訓練」や応急対応を組み込む
評価基準集合までの時間を重視「揺れから命を守る行動」「判断力・対応力」を重視
心理面不安やパニックは想定外実際に不安や過呼吸が出ることも前提にして訓練
教育効果指示待ち型で主体性が育たない子どもが自ら考え、判断して行動できる力を育成

🪢 ロープワークは必要か?

形骸化した訓練の典型が「ロープワーク講習」です。

  1. 使う機会が少ない
    実際に必要なのは避難誘導や安否確認など。ロープを結ぶ場面はほとんどありません。
  2. すぐ忘れる
    反復が必要で、一度習っても数か月で忘れる人が大半。
  3. 道具で代用できる
    結束バンド・カラビナ・ワンタッチテントで十分。
  4. 子どもには不要
    まず学ぶべきは「逃げ方」「判断」「情報の受け取り方」。
  5. 訓練をむしばむ
    恒例行事化すると、本当に必要な訓練(夜間避難や要支援者対応)が後回しになります。

📝 結論

ロープワークは消防団や救助隊には有用ですが、一般市民向けの訓練としては効果が薄く、優先度は低いのです。


✅ これから必要な訓練

  • 避難所開設を想定した訓練(トイレ・食料・プライバシーをどう確保するか)
  • 夜間・雨天・停電下での避難訓練
  • 高齢者や要支援者を含めた避難訓練

📝 まとめ

本当に命を守る訓練とは「形」ではなく「現実」に即したものです。
みなさんの地域や学校の訓練は、いざという時に役立ちますか?

👉 今こそ“時代遅れの避難訓練”を見直し、命を守るための 本物の訓練 へ変えていきましょう。

参考資料
実践的な防災教育の手引き 文部科学省
https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/jissenbousaisyougakukou.pdf