🔦 ブラックアウト大作戦 ― 電気のない夜に“気づく防災力” ―

⚠️ はじめに ― 近い未来の「ブラックアウト」に備えるために

他府県・他団体のイベントではありますが、
これは目からうろこの素晴らしい防災アイデアだと感じましたので、
日本防災士ネットワークのブログでも紹介させていただきます。

皆さん、最近こう感じたことはありませんか?
「昔にくらべて停電が増えた気がする」と――。

その背景には、

  • 施設や送電設備の老朽化
  • 人手不足によるメンテナンス体制の弱体化
  • そして、太陽光発電の急速な普及が地域送電網に与える負担の増大

といった複合的な要因があります。

これらが重なれば、**ブラックアウト(大規模停電)**は決して遠い未来の話ではありません。
むしろ、「いつ起きてもおかしくない」現実的なリスクとなりつつあります。

そこで今回は、長岡技術科学大学などが実施する実践的な防災体験プログラム――
『ブラックアウト大作戦』 をご紹介します。
停電を「学びと気づきの時間」に変えるこのイベントは、
地域の防災活動にも多くのヒントを与えてくれます。


💡 生活の中で防災を「体験」する試み

突然の停電。
照明もテレビもスマホの光もない――。
そんな非日常を、あえて“体験”する全国的な防災イベントが
**「ブラックアウト大作戦」**です。

長岡技術科学大学地域防災実践研究センター、東京電力ホールディングス株式会社、中越防災安全推進機構が主催し、
新潟県や長岡市、関東経済産業局なども後援する官民連携のプロジェクト。

2025年10月17日(金)~23日(木)の期間に、
自宅で好きな日・時間を選び、自分の家のブレーカーを落として停電生活を体験するという
シンプルながらも深い気づきを生む取り組みです。


🕯️ 3つのミッション ― “電気のない夜”を生き抜け!

  1. 停電中に夕食をとってみよう!
     電気を使わずにどう食事をする?
     ガスコンロ、キャンドル、非常食。工夫こそが命綱。
  2. 家族で防災について話し合おう!
     明かりのない中でこそ、“何が足りないか”が見えてきます。
  3. 停電中のようすを写真におさめよう!
     記録することで、次の備えが見えてくる。

禁止事項は3つ――外出しない・外部電源を使わない・ネットを見ない。
まさに、リアルな「電気のない生活」を再現します。


🔍 やってみると分かる「備えの盲点」

参加者からは、こんな声が寄せられました。

「子どもが意外と防災知識を知っていて驚いた」
「不便を楽しむ時間になった」
「持ち出し袋の中身が実際には役立たないと気づいた」
「防災グッズを“試す”ことの大切さを実感した」

数字にも表れています。

  • 備蓄を見直した人:88%
  • 行動を起こした人:91%

まさに「体験することで行動が変わる」ことを証明しています771898_2433325_misc。


🧭 防災士が注目すべきポイント

「ブラックアウト大作戦」は家庭での防災訓練を超えた、
社会実験型の防災教育プロジェクトです。

防災士がこの取り組みを地域で応用することで、次のような効果が期待できます。

  • 家庭防災の“参加型訓練モデル”を地域に広げる
  • 防災士が「体験の設計者」として住民に気づきを促す
  • 自治会・学校・企業と連携した停電体験イベントの開催

こうした展開により、「市民が主体となる防災文化」の芽を育てることができます。


🔋 「停電を、学びに変える。」

電気のない夜に家族と食卓を囲む――。
その時間は不便ではなく、「防災を考える貴重な時間」です。

ライトの光の下で、
「うちの非常食は足りているかな」「懐中電灯は動くかな」
そんな小さな気づきが、“命を守る行動”へとつながります。


🗓️ 日本防災士ネットワークとしての展望

私たちもこの「ブラックアウト大作戦」に学び、
地域で応用できるプログラムとして、以下の展開を検討はじめました。

  • 各地の防災士による「停電体験ナイト」の開催
  • 子ども向け「電気のないくらし」体験教室
  • 停電時行動データの共有・分析による教材化

地域に即した形で、“生活防災”を広げる一歩にしたいと考えています。


🌕 結び ― 家のブレーカーを落とす、その勇気が防災の第一歩

防災は“明るい時”にしか準備できません。
そして、停電を「試してみる」ことは、
いざという時の命綱を確かめることでもあります。

👉 未来を守るのは、あなたの小さな体験。
電気のない夜に、家族と語る時間を――。

私が住む京都府舞鶴市は、街灯が少なく、
夜に外へ出れば一面が真っ暗闇。
その静けさの中で、光のありがたみを感じることができます。

しかし、街灯が多い都会の方々は、真っ暗闇を体験する機会がほとんどありません。
だからこそ、都会の方にこそ「ブラックアウト大作戦」をぜひ体験してほしいと思います。
きっとそこに、“防災の本質”が見えてくるはずです。


※出典:「ブラックアウト大作戦」チラシ
(長岡技術科学大学地域防災実践研究センター/東京電力HD/中越防災安全推進機構/新潟県/長岡市)