災害用トイレを買いに行こう

今日の「今日できる防災」は、災害用トイレの準備です。
防災というと、水や食料、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、それらも大切です。
しかし、災害時に本当に困るものの一つが「トイレ」です。
地震や大雨、台風などで断水したり、下水道が使えなくなったりすると、普段どおりにトイレを流せなくなることがあります。
水や食料の備えはしていても、トイレの備えは後回しになっているご家庭も多いのではないでしょうか。
実際に、NPO法人日本トイレ研究所が全国47都道府県の4700人を対象に行った「災害時トイレに関する意識調査」では、大地震で停電・断水した場合の避難先として「自宅」を選んだ人は74.7%にのぼりました。
一方で、自宅に災害用トイレ、つまり携帯トイレや簡易トイレを備蓄している人は20.6%にとどまっています。
つまり、多くの人が「災害時は自宅で過ごす」と考えているにもかかわらず、その生活を支えるためのトイレ対策は十分に進んでいないのです。
水は少し我慢できても、トイレは我慢し続けることができません。
災害用トイレは、家族の健康と安心を守るために、とても大切な備えです。
なぜ災害用トイレが大切なのか
災害時には、水道が止まることがあります。
また、水が出ていても、下水管や排水設備が壊れている場合は、トイレを流してはいけないこともあります。
無理に流してしまうと、汚水が逆流したり、集合住宅ではほかの部屋に迷惑をかけたりする可能性があります。
日本トイレ研究所の調査でも、災害時に自宅生活で最も困ることとして「水洗トイレが使えない」と答えた人は62.6%でした。
これは、飲料水不足の39.4%、入浴できないことの37.4%を大きく上回っています。
それだけ、災害時のトイレ問題は多くの人にとって大きな不安なのです。
一方で、地震により排水管が損傷している場合、水洗トイレを使用すると汚水が逆流したり、あふれたりする危険があることを「知らない」と答えた人は57.3%にのぼりました。
「水があれば流せる」と思っていても、排水管や下水道に問題がある場合は、流すことで被害を広げてしまうことがあります。
また、トイレが使えないと、水分を取ることを我慢してしまう人もいます。
「トイレに行けないから水を飲まないようにしよう」と考えてしまうのです。
しかし、水分を控えすぎると、脱水や体調不良につながることがあります。
特に高齢の方、子ども、持病のある方は注意が必要です。
トイレの備えは、単なる便利グッズではありません。
命と健康を守るための防災用品です。
今日できる備え
まずは、災害用トイレを買いに行くことから始めてみましょう。
ホームセンター、ドラッグストア、防災用品売り場、インターネット通販などで購入できます。
「簡易トイレ」「携帯トイレ」「非常用トイレ」「災害用トイレ」などの名前で販売されています。
家庭で備えるなら、便器に袋をかぶせて使うタイプが使いやすいです。
袋と凝固剤がセットになっているものが多く、使用後は固めて処理できるようになっています。
選ぶときは、次の点を確認しましょう。
・何回分入っているか
・凝固剤が付いているか
・消臭袋や防臭袋があるか
・使い方が分かりやすいか
・保管しやすい大きさか
・使用後の処理方法が書かれているか
調査では、災害用トイレを備蓄しない理由として、「特に理由はない」が28.9%で最も多く、「どのくらい備蓄すればよいかわからない」が18.9%、「どの製品を買えばよいかわからない」が18.8%でした。
つまり、必要ないと思っているというより、何をどれだけ買えばよいのか分からず、そのままになっている方が多いのです。
最初から完璧にそろえる必要はありません。
まずは少量でも構いません。
大切なのは、「家に一つもない状態」をなくすことです。
どれくらい必要か考えよう
災害用トイレは、思っているより多く必要になります。
人は一日に何度もトイレに行きます。
家族の人数が多ければ、それだけ必要な回数も増えます。
目安としては、1人1日5回程度と考え、最低3日分は備えておきたいところです。
たとえば、4人家族なら、1日で20回分。
3日分なら60回分。
7日分なら140回分になります。
数字で見ると多く感じるかもしれません。
でも、トイレは毎日必ず必要になるものです。
調査では、災害用トイレを備蓄している人の中でも、備蓄量は1人当たり「1〜5回分」が24.8%、「6〜10回分」が22.0%でした。
最低3日分には足りない家庭も多いことが分かります。
また、適切な備蓄量について「わからない」と答えた人も42.3%にのぼっています。
一度に全部そろえる必要はありません。
まずは10回分、20回分から始めて、少しずつ買い足していく方法でも十分です。
「今月は20回分」
「来月も20回分」
このように少しずつ増やしていけば、家計の負担も少なく、無理なく備えることができます。
家族で確認すること
災害用トイレは、買っただけでは安心できません。
調査では、備蓄している人のうち「購入したまま確認していない」と答えた人が59.9%にのぼりました。
使い方を確認した人は24.2%にとどまっています。
つまり、せっかく備えていても、いざというときにすぐ使えるか分からない家庭が多いのです。
家族で、
「どこに置いてあるか」
「どうやって使うのか」
「誰でも使い方が分かるか」
「使用後の袋をどこに置くか」
「におい対策はどうするか」
を確認しておきましょう。
特に、初めて使うものは、災害時に説明書を読みながら使うのが難しいことがあります。
できれば一度、使い方を家族で確認しておくと安心です。
小さなお子さんがいる家庭では、怖がらずに使えるかも大切です。
高齢の方がいる家庭では、使いやすい高さや姿勢も考えておきましょう。
また、災害用トイレと一緒に、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、消毒用品、黒いごみ袋、防臭袋なども備えておくと便利です。
注意したいこと
災害時にトイレが流れないとき、バケツの水で無理に流そうとする方もいます。
しかし、排水管や下水道が壊れている場合は、流すことでトラブルが大きくなることがあります。
地震の後などは、自治体や管理会社からの情報を確認してから使うようにしましょう。
集合住宅に住んでいる場合は、特に注意が必要です。
自分の部屋だけの問題ではなく、建物全体の排水設備に関係することがあります。
また、使用後の災害用トイレの処理方法は、自治体によって異なる場合があります。
ごみとして出す場合も、分別や出し方のルールがあるため、平常時に確認しておくと安心です。
におい対策も大切です。
使用後の袋をそのまま置いておくと、衛生面で問題が出ることがあります。
防臭袋やふた付きの容器を用意しておくと、在宅避難の負担を減らせます。
まとめ
災害用トイレを準備することは、今日すぐできる防災です。
在宅避難を考える人は増えています。
しかし、災害用トイレの備蓄はまだ十分とは言えません。
水や食料の備えと同じように、トイレの備えもとても大切です。
トイレが使えない状況は、想像以上に大きなストレスになります。
まずは、災害用トイレを買いに行く。
少量でもよいので家に備える。
家族で使い方を確認する。
トイレットペーパーや防臭袋も一緒に準備する。
少しずつ必要な回数分を買い足していく。
このような小さな行動が、災害時の安心につながります。
防災は、難しいことを一度に全部そろえることではありません。
今日できることを一つずつ増やしていくことが大切です。
今日はぜひ、災害用トイレを一度確認してみてください。
まだ家にない場合は、買い物リストに入れるところから始めてみましょう。
災害時には、地域の自治体、気象庁、消防などが発表する最新情報も必ず確認してください。
日ごろの小さな備えが、家族と地域を守る力になります。
防災士(京都府舞鶴市) 森本たかし
