防災庁ができても、家庭の備えは自分たちで進めよう

今日の「今日できる防災」は、防災庁と家庭の備えについてです。

政府全体の防災・災害対応の司令塔となる「防災庁」の設置が決まりました。

大規模地震や風水害が相次ぐ中で、災害が起きた直後の対応だけでなく、復旧・復興、そして平時からの備えを政府全体で強化していくための組織です。

防災庁ができることで、国や自治体の災害対応がより効率的になり、物資や人員の備え、災害時の支援体制などが強化されることが期待されています。

これは、とても大切な動きです。

しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。

防災庁ができたからといって、私たち一人ひとりの備えが不要になるわけではありません。

災害時に自分と家族を守るためには、行政の取り組みと同時に、家庭での備えがとても大切です。

行政の防災と家庭の防災は両方必要

大きな災害が起きたとき、行政の力は欠かせません。

避難情報の発信。
避難所の開設。
救助活動。
物資の支援。
道路や水道などの復旧。
被災者支援。

こうした対応は、国や自治体が中心になって進める必要があります。

一方で、災害が起きた直後は、行政の支援がすぐに届かないこともあります。

道路が通れない。
通信が混乱する。
被害が広い範囲に及ぶ。
避難所や支援物資の準備に時間がかかる。

そのような状況では、最初の数日間を家庭でどう乗り切るかが大切になります。

だからこそ、行政の防災と家庭の防災は、どちらか一方ではなく、両方が必要なのです。

これから大切になるのは個人の行動変容

防災庁設立の報道では、今後の課題として「個人レベルの行動変容」が指摘されていました。

これは、とても大事な視点です。

防災の必要性は、多くの人が分かっています。
しかし、実際に行動に移せているかというと、まだ十分ではない面があります。

水を備えようと思っているけれど、まだ買っていない。
非常食を用意しようと思っているけれど、後回しになっている。
ハザードマップを見た方がよいと思っているけれど、まだ確認していない。
災害用トイレが必要だと知っているけれど、まだ家にない。
家族で避難先を話し合った方がよいと思っているけれど、まだできていない。

この「分かっているけれど、やっていない」を少しずつ変えていくことが、防災ではとても大切です。

防災は、知識だけでは命を守れません。
行動に変えてこそ、備えになります。

今日できる備え

防災庁のような大きな仕組みは、国がつくるものです。
しかし、家庭の備えは今日から自分たちで始めることができます。

たとえば、

・水を1箱買っておく
・非常食を確認する
・懐中電灯の場所を決める
・スマホの充電器やモバイルバッテリーを確認する
・家族の連絡先を紙に書く
・ハザードマップを見る
・災害用トイレを買う
・玄関まわりを片付ける
・避難先を家族で話し合う

どれも特別なことではありません。

でも、こうした小さな行動の積み重ねが、災害時の大きな差になります。

防災は、いきなり完璧にする必要はありません。
今日できることを一つだけやる。
それで十分です。

フェーズフリーの考え方

防災庁設立の報道では、日用品などを非常時にも使えるようにデザインする「フェーズフリー」の考え方にも触れられていました。

フェーズフリーとは、普段使っているものを、災害時にも役立つようにする考え方です。

たとえば、普段から食べているレトルト食品や缶詰を少し多めに置いておく。
日常で使っているモバイルバッテリーを、災害時にも使えるように充電しておく。
いつも使うバッグに、小さなライトや携帯トイレを入れておく。
普段の買い物で、水や日用品を少し多めに買っておく。

防災用品を特別なものとしてしまい込むのではなく、日常生活の中で使いながら備える。
これなら、無理なく続けやすくなります。

「防災を特別な日にだけ考える」のではなく、「普段の暮らしの中に防災を入れる」ことが大切です。

家族で確認すること

防災庁や自治体の取り組みは大切ですが、家庭の中で決めておくべきこともあります。

「災害時にどこへ避難するか」
「家族が別々の場所にいるときはどう連絡するか」
「自宅にとどまる場合、水や食料は足りるか」
「トイレが使えないときはどうするか」
「高齢の家族や子どもをどう守るか」
「ペットがいる場合はどう避難するか」

こうしたことは、行政が代わりに決めてくれるものではありません。

家族の人数、年齢、住んでいる場所、家の構造、通勤・通学先、健康状態によって、必要な備えは変わります。

京都府舞鶴市のように、山、川、海が近い地域では、地震、大雨、土砂災害、台風、津波など、複数の災害を考えておく必要があります。
家庭防災として、自分たちの暮らしに合った備えを考えておくことが大切です。

注意したいこと

防災庁ができることは、国全体の防災力を高めるうえで大きな一歩です。

しかし、行政の体制が強化されても、災害時に一人ひとりが何も備えていなければ、被害を減らすことは難しくなります。

災害時には、行政も被災します。
職員も被災者になります。
道路が壊れれば、支援物資もすぐには届きません。
通信が混乱すれば、情報を得るにも時間がかかります。

だからこそ、最初の数日間を自分たちで支える備えが必要です。

「行政が何とかしてくれる」だけではなく、
「行政の支援が届くまで、自分たちで何ができるか」
を考えておくことが大切です。

まとめ

防災庁の設置は、国の防災体制を強化する大切な取り組みです。

しかし、防災は国や自治体だけが行うものではありません。
家庭での備え、個人の行動、日常の小さな習慣が、災害時の命を守る力になります。

水を備える。
食料を確認する。
トイレを準備する。
ハザードマップを見る。
家族で話し合う。
懐中電灯の場所を決める。

こうした一つ一つの行動が、防災です。

防災庁ができる今だからこそ、私たちも家庭の備えを見直すよい機会です。

今日はぜひ、「わが家でまだできていない備え」を一つだけ確認してみてください。
災害時には、地域の自治体、気象庁、消防などが発表する最新情報も必ず確認してください。

日ごろの小さな備えが、家族と地域を守る力になります。

防災士 森本たかし(京都府舞鶴市)