
何が起きたのか
2026年7月28日、熊本県内で最大震度7を観測した地震の後、熊本県嘉島町の大型商業施設「イオンモール熊本」で大規模な爆発が発生しました。地震発生からおよそ1時間20分後のことでした。建物2階の南側中央部を中心に大きく損壊し、モール内では複数の死者が確認されています。
爆発の原因として専門家が指摘しているのは、施設で使用されていたLPG(液化石油ガス)の漏えいです。地震の揺れによって配管やバルブが損傷し、そこから漏れたガスに何らかの形で引火した可能性が高いとみられています。緊急遮断弁は作動したはずですが、配管に残っていたガスが継ぎ目などから漏れ出て爆発に至った、という見方が専門家から示されています。
22歳、最期の言葉
犠牲になった方の一人に、モール内の雑貨・コスメ店で働いていた22歳の女性店員がいます。彼女は地震直後に一度、店の外へ避難しました。ところが駐車場で偶然出会った親戚に、「会社の人から頼まれた」「レジのお金を金庫に入れに行かないといけない」と話し、周囲が止めるのも聞かず、同僚とともに店内へ戻っていきました。
それから約5分後、爆発が起きました。
母親や弟は、「本来は避難して助かったはずの命が、数万円のために奪われた」「会社には真実をはっきり話してほしい」と、やり場のない思いを訴えています。
これは人災か、事故か
遺族が「人災だ」「なぜ戻れと指示したのか」と憤る気持ちは、痛いほどよく分かります。「帰れ」と言ってくれていたら、22歳の彼女は今も生きていたはずです。
一方で、私は正直、この判断の是非を断罪するのは難しいと感じています。防災士という立場であっても、あの瞬間そこにいたら、店に戻ることを止めることも、勧めることも、簡単にはできなかったと思います。
余震で建物が崩れてくるリスクは、当然みんな頭のどこかにあったはずです。おそらく本人も、そのリスクを分かった上で、「地震発生から一時間くらい経って落ち着いてきたから大丈夫だろう」と判断して店に戻ったのではないでしょうか。
会社側の対応が適切だったかどうかは、今後の検証や報道で明らかになっていく部分もあると思います。ただ、それを差し引いても、最終的にこれは「事故」であり、誰か一人を一方的に断罪して片づけられるようなことではない、というのが私の率直な感想です。

