防災ワード:エコノミークラス症候群とは?

今日の「今日できる防災」は、防災ワード「エコノミークラス症候群」についてです。

エコノミークラス症候群という言葉を聞いたことがありますか。

もともとは、飛行機の狭い座席で長時間座り続けることで起こりやすい症状として知られるようになりました。

しかし、これは飛行機だけの話ではありません。

災害時の避難所生活や車中泊でも、長い時間同じ姿勢で座ったまま、または寝たままでいると、エコノミークラス症候群が起こることがあります。

特に災害時は、避難所で十分に体を動かせなかったり、車の中で寝泊まりしたり、水分を控えてしまったりすることがあります。

そのため、防災の中でも知っておきたい大切な言葉です。

エコノミークラス症候群とは何か

エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢でいることで、足の血液の流れが悪くなり、血の固まりができることから起こります。

この血の固まりを血栓といいます。

足にできた血栓が血流に乗って肺まで移動すると、肺の血管に詰まることがあります。
これを肺塞栓といい、命に関わることもあります。

難しく聞こえるかもしれませんが、家庭防災として大切なのは、

「長時間じっとしない」
「水分を控えすぎない」
「足を動かす」

ということです。

避難所や車の中では、つい動く機会が少なくなります。
だからこそ、意識して体を動かすことが大切です。

災害時に起こりやすい理由

災害時には、普段と違う生活が続きます。

避難所で長く座っている。
車の中で寝泊まりする。
狭い場所で足を伸ばせない。
トイレに行きにくくて水分を控える。
体調が悪くても我慢してしまう。

こうした状況が重なると、血液の流れが悪くなりやすくなります。

特に車中泊では、座席に座ったまま眠ることが多くなります。
足が下がった状態で長時間動かないと、足に血液がたまりやすくなります。

また、避難生活ではトイレの心配から水分を減らしてしまうことがあります。
しかし、水分が不足すると血液が濃くなり、血栓ができやすくなることがあります。

「トイレに行きたくないから水を飲まない」という行動は、体にとって危険になる場合があります。

注意したい症状

エコノミークラス症候群では、足や胸に症状が出ることがあります。

注意したい症状には、次のようなものがあります。

・片方の足が腫れる
・ふくらはぎが痛い
・足が赤くなる
・足に熱っぽさがある
・歩くと息切れする
・胸や背中が痛い
・動悸がする
・急に息苦しくなる

日本呼吸器学会も、脚のむくみ、腫れ、痛み、歩行時や階段での息切れ、胸や背中の痛み、動悸などを注意すべき症状として示しています。

特に、急な息苦しさ、胸の痛み、意識がぼんやりするような症状がある場合は、すぐに周囲へ助けを求め、医療機関や救急につなげてください。

今日できる備え

エコノミークラス症候群を防ぐために、今日からできることがあります。

まずは、足を動かすことです。

避難所や車の中でも、できる範囲で足首を回したり、つま先を上下に動かしたりしましょう。
ふくらはぎを軽くもむことも、血流を助ける行動になります。

長時間同じ姿勢を続けず、可能であれば時々立ち上がって歩くことも大切です。

次に、水分を取ることです。

トイレが心配で水分を控えたくなる気持ちは分かります。
しかし、水分不足は体調不良につながります。

災害用トイレを備えておくことで、トイレへの不安を減らし、水分を取りやすくすることにもつながります。

また、車中泊をする可能性がある方は、車の中に水、携帯トイレ、ブランケット、ライトなどを備えておくと安心です。

家族で確認すること

エコノミークラス症候群は、家族で声をかけ合うことも大切です。

「水分を取っているか」
「ずっと同じ姿勢でいないか」
「足を動かしているか」
「トイレを我慢していないか」
「足の腫れや痛みはないか」

避難生活では、本人が我慢してしまうこともあります。
周りの家族が気づくことで、早めの対応につながります。

特に注意したいのは、高齢の方、持病のある方、妊娠中の方、肥満傾向のある方、過去に血栓症を経験した方などです。

また、長時間の車中泊が続く場合は、できるだけ足を伸ばせる姿勢を取り、定期的に外へ出て体を動かすようにしましょう。

注意したいこと

エコノミークラス症候群は、軽く考えてはいけない症状です。

足のむくみや痛みだけで終わらず、血栓が肺に詰まると、命に関わることがあります。

避難所や車中泊では、「周りに迷惑をかけたくない」と思って体調不良を我慢する方もいます。
しかし、息苦しさや胸の痛み、強い足の腫れや痛みがある場合は、早めに助けを求めることが大切です。

また、持病がある方や薬を飲んでいる方は、普段から主治医や薬剤師に災害時の注意点を確認しておくと安心です。

京都府舞鶴市のように、山、川、海が近い地域では、台風、大雨、地震などによって避難生活や車中避難が必要になる可能性があります。
家庭防災として、水や食料だけでなく、避難生活中の健康を守る備えも考えておきましょう。

まとめ

エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢でいることで足に血栓ができ、その血栓が肺に詰まるおそれがある症状です。

飛行機だけでなく、災害時の避難所生活や車中泊でも起こることがあります。

予防のためには、

足を動かす。
時々立ち上がる。
水分を取る。
トイレを我慢しすぎない。
車中泊では同じ姿勢を続けない。
家族で体調を確認し合う。

こうしたことが大切です。

今日はぜひ、避難生活や車中泊になった場合の健康対策を、家族で一度話し合ってみてください。
災害時には、地域の自治体、気象庁、消防、医療機関などが発表する最新情報も必ず確認してください。

日ごろの小さな備えが、家族と地域を守る力になります。

防災士 森本たかし(京都府舞鶴市)